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牌の危険度 22 ~観念的牌危険度と現実的牌危険度~

 前回、「通った筋の本数別の牌の危険度」について表を公開したところ、次のような質問があった。

(以下、コメントより引用)
いつも興味深いデータを公開してくださってありがとうございます。
質問なのですが、観念的牌危険度・具体的牌危険度とは何でしょうか?
(引用終了)

 今回はこの質問に回答する。


1 定義

「牌の危険度」とは、「ある牌を切ったときにその牌で刺さる確率」である。
 そして、「具体的牌危険度」というのは、「プレーヤーが現実に切った牌のみを対象とした場合の牌の危険度」である。
 なお、「現実的牌危険度」の定義も「具体的牌危険度」と同じである。
 以下、「現実的牌危険度」で統一する(私自身両者に差を設けてはいない)。

 他方、「観念的牌危険度」というのは、「プレーヤーが切ることのできた牌を対象とした場合の牌の危険度」である。
 なお、「抽象的牌危険度」の定義も「観念的牌危険度」と同じである。
 以下、「観念的牌危険度」で統一する。

 両者の違いは、立直者に対して現実に切った牌のみをカウントするか、立直者に対してプレーヤーの切ることが出来た牌(現実に切らなかった牌も含む)もカウントするか、の違いである。
 

 ただ、これだけではあまりピンとこないだろう。
 そこで、数式を用いて説明する。

「現実的牌危険度」の場合、無筋5の牌の危険度を求める際の分子・分母に来る式は

(現実的牌危険度の分子)= (無筋5pが現実に切られた場合の無筋5pが当たり牌だった回数)
(現実的牌危険度の分母)= (無筋5pを現実に切った回数)

となる。
 これに、無筋5s・無筋5mのケースが加わるわけだが。

 他方、「観念的牌危険度」の場合、両筋5の牌の危険度を求める際の分子・分母は

(観念的牌危険度の分子)= (両筋5pが切ることが可能だった場合の両筋5pが当たり牌だった回数)
(観念的牌危険度の分母)= (両筋5pを切ることができた回数)=(対立直者の手牌に両筋5pがあった回数)

となる。
 こちらも、これに両筋5s・両筋5mのケースが加わるわけだが。


2 具体例

 具体例を出してみよう。
 例えば、立直者に対する自分の手牌が

2p3p4p5p7p9p1s2s5s5s3m5m7m9m

 でここから9mを切ったとしよう。

「現実的牌危険度」の場合、考慮されるのは現実に切った牌だけであり、9mだけである。
 他方、「観念的牌危険度」の場合、現実に切った牌だけではなく、切ることができた牌が考慮されるので、考慮されるのは手牌にある牌、つまり、

2p3p4p5p7p9p1s2s5s3m5m7m9m

全部である(トイツやアンコで持っている牌は1度しかカウントしない)。

 以下、立直者は数牌を一切切っておらず、切る牌は無筋とする。

 現実的牌危険度の場合は、

 9mを切ったので無筋19の危険度の分母に1プラスし、9mが当たり牌であったら分子にも1プラスする。

 で終わりである。

 他方、観念的牌危険度の場合は、

 2pを切ることが可能なので、無筋28の危険度の分母に1プラスし、2pが当たり牌であったら分子に1プラスする。
 3pを切ることが可能なので、無筋37の危険度の分母に1プラスし、3pが当たり牌であったら分子に1プラスする。
 4pを切ることが可能なので、無筋46の危険度の分母に1プラスし、4pが当たり牌であったら分子に1プラスする。
 5pを・・・
 7pを・・・
 9pを・・・
 1sを・・・
 2sを・・・
 5sを・・・
 3mを・・・
 5mを・・・
 7mを・・・
 9mを・・・

となる。


3 観念的牌危険度の長短

 牌の危険度のイメージからすれば、現実的牌危険度の求め方の方が直感にあう
 私が以前伺ったところによると、nisiさんが求めた牌の危険度は現実的牌危険度である。
 他方、ほしきゅー、クレーンらの牌の危険度は観念的牌危険度らしい。
 私は、ほしきゅー、クレーンの流れで牌の危険度を求めているところがあるので、観念的牌の危険度のデータを掲載している。
 もちろん、プログラムを書き換えればすぐに現実的牌危険度の数値を求めることができるので、データ自体は持っているが。


 では、観念的牌危険度を用いるメリットは何か。

 まずは、「捨て牌に関するプレーヤーの意思を排除できる」という点がある。
 立直者に対して牌を切るのだから、牌を切る場合「できるだけ安全な牌を切る」という意思が働くことだろう。
 例えば、「ソバテン無筋19は極力切らない」とか「アンコ筋無筋19は極力避ける」とか。
 その結果、現実的牌危険度は本来の数値よりも低い数値が出るくる可能性がある。 
 他方、観念的牌危険度の場合、手牌にその牌がありさえすれば、現実に牌を切ったかを問わずカウントされるので、「捨て牌に関するプレーヤーの意思」はそもそも排除されており、その点を気にする必要はない

 次に、「サンプル数を増やすことができる点」も重要なメリットである。
 具体例でも示したが、観念的牌危険度の方がカウントされる絶対数は増える。
 それは、牌の危険度でレアな場合のデータ数を増加させることに役に立つだろう。

 もちろん、欠点もある。
 重要な欠点は、直感と異なるという点である。
「切ることのできた牌」の多くは「切らなかった牌」でもある。
 それをカウントしてしまうのはどうか、と言われれば、なんともいえない。
 私はそれを上回るメリットがあると確信しているので、牌の危険度を求める際には「観念的牌危険度」を用いているが。


 以上、具体的牌危険度・現実的牌危険度と抽象的牌危険度・観念的牌危険度について詳説した。
 参考にしていただければ幸いである。


 それではみなさん。Atebreve!Obrigado!(また近いうちに、ありがとうございました)
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コメント

No title

回答ありがとうございます。
個人的には、観念的牌危険度が直観と異なるとは思わないです。
例えば、危険だと思ってとめた牌が実際に当たりだったとして、「ほら、やっぱりね」、というケースを危険だった実績としてカウントするのは直観的だと思うのです。(理解できていなくて的外れなことを書いていたらすいません)

No title

 コメントありがとうございます。

 なるほど。
 確かに、「牌を切らない=止めた」ケースも含めたと考えれば、別に不当でもないですね。
 ご意見ありがとうございました。

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 引用について、このようなことを書くのもはばかられますが、某所でちょっとありましたので、このようなことを認めさせて頂きました。
 ご理解いただければ幸いです。


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