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麻雀研究とは 9-2

 前回、「数理的麻雀研究に基づく戦術論であっても、その前提(補助仮説)の総てが証明されているわけではない」旨書いた。
 そして、その例として、麻雀研究では「過去と未来の牌譜解析結果は(誤差の範囲内で)同一である」という補助仮説を採用しているが、この仮説は証明されていない旨書いた。
 これについて少し補足しておく。


 まず、この仮説を証明することは誰にも不可能である。
 というのも、もしこの仮説を証明したければ、未来に行って未来の牌譜を入手し過去に戻ってこなければならないからである。
 タイム・トラベルが不可能な現状ではそれはできない。

 しかし、この仮説が概ね正しいことを推測することはできる。
 例えば、天鳳の年毎の牌譜解析結果からなされる推測である。

 年別牌譜解析結果 1
 http://meaningless777.blog.fc2.com/blog-entry-432.html

 年別牌譜解析結果 2
 http://meaningless777.blog.fc2.com/blog-entry-433.html


 上に書いたブログの記事にある年別の牌譜解析結果を見ると、年によって和了率が0.5%変わるとか、放銃率が0.5%変わるといったことはない
 そう考えると、「時期によって数値が激変することはない」と推測することはできる
 そこで、私はこの牌譜解析結果をもって「過去の牌譜解析結果をもって未来の戦術の予測に使うことに問題ない」と判断している。
 つまり、補助仮説が物理的に証明できないからといってただ手を拱いているわけではない。


 次に、物理的、または、事実上証明不可能な補助仮説は他にもいくつもあるということである。
 例えば、「天鳳における諸数値は他の麻雀における諸数値と大差ない(誤差の範囲である)」もその一つである。
 もし、天鳳が牌譜とその書式を公開しているように、雀龍門・MJ・ハンゲが10万試合(100万局)単位で牌譜とその書式を無償で公開すれば、私は喜んでそれぞれの牌譜をダウンロードして牌譜解析をすることで、「ルールやメンツによって数値はどの程度変わるのか」について調べるだろう。
 また、雀荘の麻雀卓に採譜機能をつけ、10万試合単位でフリーの対局結果が公開されたら、私は喜んで牌譜解析するだろう。
 しかし、現実においてそのようなことはなされていない。
 そのため、そのような実証はできない。 

 そのため、この補助仮説も事実上証明が不可能である。
 この点、私は「麻雀は4人のプレーヤーが136枚の牌を用いて行うゲームである、その点では同じである」ということでで数値に大差はないのではないかと思っている。
 特に、立直や一向聴などの煮詰まってきた場面においては相手の挙動もルールに依らず固定されやすい。
 ということで、私は証明不可能にも関わらずこの補助仮説を採用している。

 ここで述べたいのは、「証明していない補助仮説は(物理的、事実上)証明不可能なものが多い」ということである。
 実際、「調べられるならとっくに調べている」というやつである。


 最後に、「物理的、事実上証明不可能な補助仮説の証明を強いることは不毛である」ということであるということが挙げられる。
 補助仮説の証明がなされていない原因は様々である

 牌譜がない(物理上・事実上証明が不可能なレベル)
 (未来の牌譜が必要な場合、フリーの牌譜が必要な場合、サンプル数が足らない場合)
 能力がない(研究者によっては事実上証明が不可能なレベル)
 (牌譜解析の場合、検索条件が複雑すぎてデータが取れない場合
  シミュレーションの場合はシミュレーションの設定条件が複雑すぎてモデル化できない場合)
 時間がない
 (別の優先すべき研究テーマがあり、かつ、重要だったため、重要ではないその補助仮説の検討は後回しにした)

 研究者も一私人(しかもアマチュア)であり、リソースも有限であるから、「この仮説は重要で検証可能だからちゃんと検証しよう」、「この仮説は重要でなく(影響も少ない)、検証も困難だから検証は不要だろう」などと自分なりの判断をつけている。
 そして、それが間違っている可能性があることは言うまでもない。
 だから、補助仮説の証明の不備について質問する、疑問を呈するのは構わない。

 しかし、検証できない理由が事実上不可能な場合、そのことをとやかく言われても困る。
 自分でなんとかデータを集めて反論する、大量の牌譜を集める、代わりに利用すべき補助仮説を提示する、具体的に何を検証すればいいのかを指定して補助仮説を批判するならいざ知らず、「その補助仮説を無視している以上、その研究は無意味だ」などと言われても研究にとって何の意味もない。
 むしろ、「研究者の意欲をそぐ」という意味で有害ですらある。

 というわけで、物理的・事実上証明不可能な補助仮説についてとやかく言うのは意味がないのでやめた方が良い。
 そのことは研究者も承知していて、他に手段がないからそのような補助仮説を採用しているのだから。
 もちろん、「研究者の意欲をそぐ」目的でその言葉を投げかけるならそれなりに合理的な手段ではあるが。


 それでは、みなさん。Atebreve!Obrigado!(また近いうちに、ありがとうございました)
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Meanin Gless

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 もちろん、牌譜分析をした結果をそのまま表示する場合、重複する場合、後で細かく書く場合、他に書かれていて書く必要がない場合、情報の速報性を重視する必要のある場合は別ですが、それはあくまで例外です。

 このブログの文章の第一のターゲットは、後世の麻雀研究者になっております。
 次が、巷に流れる麻雀戦術が正しいのかを知りたい人、理由付きで麻雀戦術を知りたい人になります。
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 もちろん、発展の中には、「細かい修正」も入りますが、できれば、天鳳の赤アリ麻雀の牌譜を分析し、必要であれば、抜本的な理論の改変も目標にしたいと思います。
 また、「科学する麻雀」には秋刀魚に関する記述が乏しいため、秋刀魚に関する分析もしたいと思っております。
 その辺の研究が一通り終わりましたら、数理的裏付けの取れたある程度分かりやすい麻雀戦術記事を書きたいと思っておりますが、、、それは1年以上あとの話になるでしょうね。

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「① 私がシミュレーション又は牌譜解析したことの記載、②このサイトのデータである旨の記載」さえあれば、拒否することは致しませんが、私に再試の機会を与えていただきたいと思っているためです。

 引用について、このようなことを書くのもはばかられますが、某所でちょっとありましたので、このようなことを認めさせて頂きました。
 ご理解いただければ幸いです。


 では、よろしくお願いします。

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