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私の研究のスタンス 2

 昨日、私の研究のスタンスについて書いた。
 一言出述べれば、私の研究の目的は「説明」にある
 数値(シミュレーション結果・牌譜解析結果)を用いるのは定量的に比較するためである。


 ところで、前回の記事について少し補則をしておこうと思う。
 具体的には、とつの言う「システマティック」と「デジタル」の違いである。


 オカルトとデジタルにおける流れ論争(ここで言う「流れ」とは「前局と本局の結果は相関する」という意味の「流れ」である)を題材にとつの立場とデジタルの違いを現してみよう。
 オカルトの主張とデジタルの主張が「流れ」に関してこんな主張をぶつけあっているものと仮定する。
(なお、仮定であって「現実において両者がこのような主張をしている」と言うつもりはない)


 オカルト側の主張
 私の今まで打ってきた経験からすれば「流れ」はある。具体的には、「前回いい打牌を心がければ、次の局の配牌はよくなる」

 デジタル側の主張
 そんなもの存在するわけがない。
(ちなみに、ネマタ氏は http://yabejp.web.fc2.com/mahjong/column/notes/page023.html において、この種の流れを「存在するわけがない」と一言のもと切り飛ばしている、なお、彼が「流れ」に関して何か具体的な検証をしたとは思えない


 この対立について凸や私(システマティックサイド)が述べるべきことは何か。

 私の主張
 とりあえず、「いい打牌」という言葉は抽象的過ぎるので、「和了すること」と定義しましょう。
 また、「配牌がよくなる」というのも抽象的過ぎるので、「配牌向聴数がよくなること」と定義しましょう。
 とすれば、オカルト側が主張していることは、「和了した次の局は配牌向聴数がよくなる」ということになります。
 そこで、実際に、和了局後の配牌向聴数がよくなるかどうか調べてみましょう。
 天鳳鳳凰卓の牌譜を解析したところ、子の和了局後の配牌向聴数は3.580でした。
 なお、全体の子の和了局後の配牌向聴数は3.580でした。
 和了局後の配牌向聴数が特段(数値的に)下がるといった現象は見受けられません。
 以上より、この仮定においては「流れが存在する」とはいえません。
(詳細は http://meaningless777.blog.fc2.com/blog-entry-612.html )


(とつが主張しているところの)デジタルの我々の違いは何か。
 言葉の定義・具体化、そして、実証・検証である。

 確かに、麻雀を打っていれば、「(配牌的なものであれ、心理的なものであれ)『流れ』的な現象があるんじゃね?」と感じるのも無理からぬことである
(所謂「ランダム」とはそれくらい偏るからである)。
 だから、「あるんじゃね?」と思うことは良い。
 問題は、(東風荘の牌譜の書式、天鳳の牌譜の公開によって)検証可能になったにもかかわらず、それを放置し続けたことにある。

 他方、「牌は攪拌されている」という前提を置けば、「流れはない」と考えるのが自然である。
 だから、「流れはない」と思うのも良い。
 でも、実際に「牌の攪拌がちゃんとなされているか」は分からない(仮に、プログラムにバグがあったらどうするんだ?天鳳・東風荘はないとしても、じゃあ、アルティマは?)。
 実際に、流れ的な現象が客観的に存在するかは分からない。
「デジタルに欠けていた作業は何か」と言えばそこではないかと思われる。


 これについて『科学する麻雀』(とつげき東北著、講談者現代新書、2004)ではこんな記述がある。

(以下、『科学する麻雀』の5ページより引用、強調筆者)
 たとえば、多くの人があると信じている「流れ」の存在についても、そんな非科学的なものがあるはずがない、と断定的に切り捨てたりはせずに、何千試合ものデータから実際に検証しています。
(引用終了)

 とつの採用する立場は、「単に計算したらこうなりました。だから云々」ではないということである。
 それについて、とつは自分の局収支シミュレータの精度チェックをする際に次のように述べている。

(以下、『科学する麻雀』の99ページより引用)
 基礎的な実測データが得られたので局変化理論およびシミュレータに、どのような誤差があるのかという問題について考える。いくら細かい理論があっても、実測とまったくちがった結果が出るようでは話にならない。
(引用終了)

 このように、「実証・検証を大切にする」のがとつや私の立場である。
 私は牌譜解析結果という実証結果を直接用いて戦術論を構築している。
 また、nisiさんもたびたび自身のシミュレータの結果と実測値の結果を比較し、自己のシミュレータの精度について検証されている。
 nisiさんが明確な意図を持っているかは知る由もないが、nisiさんもその点は踏まえていると言ってもよいだろう
(ただ、そのデータを活用して戦術論を築こうとしているものたちがその点をちゃんと踏まえているかは知らないが)。


 この立場のメリットについていくつか言及しておこう。
 一つは、実測値を利用することによりデータの信用性が増すことである。
 もう一つは、議論をさらに深められることである。
 例えば、「流れの議論」で、私はざっくりと「いい打牌」や「配牌がよくなる」を定義した。
 あの定義は適当であり、オカルト側の定義と一致している保証はない。
 だが、この場合、オカルト側は「その定義は違う、具体的な『いい打牌』、『配牌がよくなる』の定義はこうだ」と反論することができる。
 そうすれば、その条件で改めてやり直すことが可能であろう
(本音を吐いてしまえば、「定義が違う」というなら、「定義を具体化して自分で調べなおせ」、と思うが)。
 そうやって言葉のやり取りをしていけば、流れに関する理解をさらに深めることができる。
 これが最大のメリットである。


 ただ、一つ誤解してはならない。
 必ずデータの裏付けがあるわけではないということである。
 我々の立場は「可能な限り明確に、数理やデータに基づいて説明できる」だということである。

 少し想像すれば分かる話だが、東風荘の牌譜の書式が公開されなければ、あるいは、天鳳の鳳凰卓の牌譜が公開されなければ、この検証という作業は事実上不可能だっただろう。
 また、赤アリ麻雀については天鳳以外の牌譜はないため、天鳳以外の場所については「赤アリ麻雀である天鳳でこうなのだから、その他の場所でも大差ないに違いない」という仮定の上に成り立っているに過ぎない
(もちろん、MJが100万局単位で牌譜を公開したら、色々調べるであろうが)。
 だから、データの信用性にまつわる事情(仮定・補助仮説)は具体的に把握しなければならない。
 でないと、思わぬところで足を掬われるだろう。

 
 以上、デジタルととつの違いについて言及しなかったため補足した。
 データを見る際の参考にしていただければ幸いである。


 では、みなさん。Atebreve! Obrigado!(また近いうちに、ありがとうございました)
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 また、「科学する麻雀」には秋刀魚に関する記述が乏しいため、秋刀魚に関する分析もしたいと思っております。
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