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わざ降段の合理性に関する質疑応答

 わざ降段の合理性についていくつか意見が出ているようなので、それらに対して返答する。


 まず、こちらから(私の麻雀研究公開に関するツイッターにアカウントにかけられた質問)。

(以下、ツイッターから引用、URLは https://twitter.com/nasubimj/status/806258104593588229 )
3まで読んで思ったのですが、わざ後段してから先の目標が遠すぎませんか?わざ後段してからptが有利に働く期間は次の段に昇段するまでですので、そこから先が長いほど有意な結果は得難いと思います。
(以下、引用終了)

 つまり、八段からのわざ降段の合理性を判断するにあたって、九段タッチ率の程度の差からわざ降段の合理性を判断するのは妥当ではない、と。
 この点については、2点ほどコメントする。

 まず、1点目。
 私のシミュレータでは、八段原点復帰率とか九段原点復帰率などの数値は取れない。
 だから、九段タッチ率(十段タッチ率)を取った。
 つまり、九段タッチ率(十段タッチ率)は私がシミュレーションから調べられる数値のなかでもっとも近い指標ということになる。

 ただ、「これでは遠い」という批判が飛んでくるのは予期していた。
「九段タッチ率(十段タッチ率)では遠すぎる」という批判に備えて用意した指標が、「天鳳位までの必要ポイント(の平均)」である。
 この数値に大きな差が出れば、九段タッチ率に差がなくても、天鳳位までの距離に差があることが示せることになり、細かい意味でのわざ降段の合理性が調べられると思ったのである。

 しかし、「天鳳位までの必要ポイントの平均の差の結果」については前回までのシミュレーションの結果のとおりである。
 100試合のところでさえそれほど大きな差が出ていない(運によるばらつき、つまり、標準偏差の5分の1程度である)。
 また、明らかに「わざ降段をした方が天鳳位までの必要ポイントの平均が下がる」現象も見出せなかった
 少なくても、「天鳳位までの必要なポイントの平均」から「わざ降段に合理性がある」と主張するのは難しいと思われる。

 もう1点。
「九段タッチ率を比較するのは遠い」という主張自体の合理性について。
 ここでは、「八段原点復帰率で比較すべきだ」という主張をしていると仮定し、その合理性を検討しよう。

 そのような主張をされる方にお伺いしたい。
 わざ降段をするなりしないなりして、その後、八段原点に復帰したとしよう。
 しかし、八段原点に復帰したあとはどうするのだろうか?
 上(九段)を目指すのではないだろうか?
 それとも、原点に復帰した瞬間保存するのであろうか?
(それくらいなら降段する前に保存した方がよいように思うが)

「九段タッチ率」などが分かっているときに、殊更に「八段原点復帰率の比較」にこだわる適格のある人間は、「八段原点に復帰したら保存する人間」である。
 八段原点復帰後、仮に(上に)九段を目指すなら、「八段原点復帰率」を比較することに意味はない(目的から遠い、それなら「九段タッチ率」を比較すべきである)。
 そう考えると、「八段原点復帰率で比較すること」それ自体にさほど合理性がないように思われる(もちろん、「九段タッチ率が未知だから、八段原点復帰率で比較する」というのはありだとしても)。
 そんなことをするくらいなら、シミュレーションのサンプルサイズを10000から1000000にして精度を一桁増やした方がよほどマシである。

 また、この数値にこだわるなら別の事情を加味して考えた方が面白かろう。
 例えば、自分のポイントが400ポイント未満では、自分の安定段位が1下がる、よって、以下略、というように。
 その点を主張してはじめて八段原点復帰率に意味が付与されうるであろう。
 その部分を(意識的、あるいは無意識的に)隠し、九段タッチ率が把握されている状況で、「(一般的に)八段原点復帰率」に意味がある、と主張するのはあまり合理的とは思えないのだが・・・。
(以上、返信終了)


 次のコメントはこちら(当該ブログのコメントより)。

 安定8とか7.5段の人の場合が気になります。 
 7段配分ならプラスだけど、8段配分だとマイナス、の人が1番わざ後段の恩恵を受けられるのでは無いでしょうか。

 安定8のシミュレーションは既に行った。
 安定7.5のシミュレーションはする予定がなかったが、興味があったのでやってみた。
 ただ、100試合から2000試合まで全部やると、シミュレーション解析ログが50メガ近くになり、私の麻雀研究ログの容量を圧迫するので、500試合・八段から七段に降段する間際についてわざ降段をしたときしなかったときの九段タッチ率について調べてみた。
 結果は次のとおりである。

 鳳南7.5段(平均順位2.475)の八段から七段へのわざ降段の合理性に関するシミュレーション

 七段原点
・九段タッチ率10.18%
・500試合後の天鳳位になるための必要なポイント6104

 八段0ポイント
・九段タッチ率10.64%
・500試合後の天鳳位になるための必要なポイント6091

 八段200ポイント
・九段タッチ率10.11%
・500試合後の天鳳位になるための必要なポイント6100

 九段タッチ率の標準偏差の2倍が0.63あたりであることを考慮すると、わざ降段をするかどうかによって大きな差はなさそうである。
 よって、この場合におけるわざ降段にも合理性があるとは言えなさそうである。
(以上、返信終了)


 最後に。

 私が主張しているのは、「わざ降段は有効な戦術である」との主張に対し、「それを裏付ける数値的結果はなく、『(一般的に)わざ降段は有効な戦術である』は合理的とは言えない(言い難い)」である。
(その証拠に、このブログにおいて「(一般論として)わざ降段に合理性がない」と書いてはいない、「これこれの状況においてわざ降段に合理性はない」と書いたが)。
 他のあらゆる事象について調べれば、又は、目的を「上の段にタッチすること」以外のものに変更すれば)、わざ降段に合理性があるケースが出てくるかもしれない。
 真にそう思うのであれば、ご自身でシミュレーションされればよろしかろうかと思う。


 最後に、「安定段位が8以上になれば、わざ降段に合理性が出てくる場面がある」などと主張してきた人間がいたため、それについても典型的な場面についてシミュレーションしておく
 具体的には、安定段位は9.2(平均順位2.4)で十段からの降段間際の状況について調べる(調べるのは天鳳位タッチ率、試合数は500試合である)。

 九段原点
・天鳳位タッチ率4.32%
・500試合後の天鳳位になるための必要なポイント3450(標準偏差1326)

 十段0ポイント
・天鳳位タッチ率4.34%
・500試合後の天鳳位になるための必要なポイント3433

 十段200ポイント
・九段タッチ率4.33%
・500試合後の天鳳位になるための必要なポイント3393


 ちなみに、500試合だと長期だといわれるかもしれないので、300試合でも同様に調べたが、天鳳位タッチ率は1.2~1.3%であり、それほど差が出なかった。
 この状況(平均順位2.4、安定段位9.2)でも「わざ降段に合理性がある」とは言えないようである。


 では、今回はこの辺で。
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コメント

No title

わざ降段しなかった場合でも、かなりの割合ですぐに降段するので結局差が出ないのかな?という気がします。
八段以上であれば0ptからだと1位2位4位ととっても降段するわけで、即降段圏外まで出れること自体50%とかしかないですよね。
「わざ降段しなかった場合に、降段せずに原点まで復帰」できることってどれくらいあるのでしょうか?

No title

コメントありがとうございます。

>「わざ降段しなかった場合に、降段せずに原点まで復帰」できることってどれくらいあるのでしょうか?

 上でも書きましたが、現在の私の段位変動シミュレータは原点復帰率を調べることはできません。
 もちろんできなくはありませんが、プログラムを組みなおし、バグチェックをする関係で、1時間単位のコストがかかります(数分で終わる作業ではありません)。
 また、上で述べたとおり、原点復帰率自体にさほどの意味があるとも思いません。
 それゆえ、原点復帰率を調べることはいたしかねます。

 あしからずご了承下さい。

No title

記事の「最後に~」のところに関しての質問なんですが十段0ptから天鳳位に到達するには最低でも4000pt必要なのに「500試合後の天鳳位になるための必要なポイント」が3433(4000未満)になるのはなぜですか?

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 その辺の研究が一通り終わりましたら、数理的裏付けの取れたある程度分かりやすい麻雀戦術記事を書きたいと思っておりますが、、、それは1年以上あとの話になるでしょうね。

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 引用について、このようなことを書くのもはばかられますが、某所でちょっとありましたので、このようなことを認めさせて頂きました。
 ご理解いただければ幸いです。


 では、よろしくお願いします。

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