記事一覧

強さの幻想 後編

 今日は前回の続き。
(旅行先でもブログが更新できるよう)2回に分けるつもりだったが、めんどくさいので1回にまとめる。


 前回、100試合打ったと仮定してシミュレーションしたときの収支の平均と標準偏差は次のようになった。

 平均順位の平均 2.4016 平均順位の標準偏差 0.122
 収支の平均5900 収支の標準偏差 63000

 では、1000試合、10000試合だったらどうなるであろうか。
 前回と同じ仮定(実力は平均順位に換算して2.4、ピン雀荘、東南戦、ウマワンスリー、一発裏赤に祝儀ありで5000点相当、場代500)を置き、100回シミュレーションしたときの収支の平均と標準偏差は次のとおりとなった(シミュレーションのログは下にある)。

1000試合の場合
 収支の平均 59000、標準偏差182000
(平均順位の平均は2.402、平均順位の標準偏差は0.033)

10000試合の場合
 収支の平均 331800、標準偏差585200
(平均順位の平均は2.404、平均順位の標準偏差は0.011)


 まず、1000試合の場合をみてみよう。
 シミュレーションの結果得られた「平均順位の平均は2.4、標準偏差役0.033」というのは、仮定および1000試合打ったときの標準偏差とほぼ合致するので、今回のシミュレーション結果もちゃんと機能している。
 そこで、収支の諸数値を見るに、収支の平均は約60000、標準偏差は約180000となった。
 100試合の場合に比較して標準偏差が増えている
 10倍にこそなっていないが、3倍近くになっている感じである。
 また、標準偏差18万がどういう意味かというと、だいたい4分の1のプレーヤーが平均より12万以上勝ち、逆にだいたい4分の1のプレーヤーが平均より12万以上負けることを意味する。
 ちなみに、10万というのをポイントに置き換えれば1000ポイントである。
 1000試合打って収支に10万も差がうまれれば、ポイントに1000ポイントも差がつけば実力差があると思わないであろうか?
 だが、これ(1000試合で10万、1000ポイント差がつくこと)も偶然おきるとは言い切れないほど生じうる現象である。

 では、10000試合ならどうであろうか?
 10000試合の場合、収支の平均は約33万、標準偏差は約59万となった。
 標準偏差は1000試合の場合よりも増えている。
 標準偏差が約59万あるということは、約4分の1の人間が平均より40万以上勝ち、約4分の1の人間が平均より40万負けることになる。
 確認しておくが、全員同じ実力と仮定してシミュレーションしている
 にもかかわらず、4分の1は(平均より)40万以上勝ち、他方4分の1は(平均より)40万以上負ける。
 ちなみに、40万というのはポイントにして4000ポイントである。
 10000試合打って収支に40万も差がうまれれば、ポイントに4000ポイントも差がつけば実力差があると思わないであろうか?
 だが、これ(1000試合で40万、4000ポイント差がつくこと)も偶然おきるとは言い切れないほど生じうる現象である。
 

 以上、収支の標準偏差をまとめるとこうなる。

 100試合 63000(平均順位の場合0.122)
 1000試合 182000(平均順位の場合0.033)
 10000試合 585000(平均順位簿場合0.011)

 試合数を増やせば増やすほど標準偏差が増えている
 平均順位の標準偏差が減っているのと比較するとこの点が異なる
 ここからいえるのは、収支それ自体で比較すると標準偏差は試合数が増えるごとにどんどん増え、ばらつきも逆に増えてしまうことを意味する
 そのことを考えると、収支自体であーだこーだ評価するのは簡単ではない。


 では、どうすればいいのだろうか?
 収支関係のデータで実力を判定することはできないのだろうか?
「強さは幻想(存在しない)」のだろうか?
 そんなことはない。
 賢明な読者ならお気づきだろう。
 収支総額で比較するのではなく、1試合あたりの平均で考えればいいのだと


 例えば、100試合打ったときの収支の標準偏差は約6万であった。
 しし、100試合打ったときの平均収支の標準偏差は約600である。
 ポイントの平均に換算すると約6である。
 例えば、1000試合打ったときの収支の標準偏差は約18万であった。
 しかし、1000試合打ったときの平均収支の標準偏差は約180である。
 ポイントの平均に換算すると約2である。
 例えば、10000試合打ったときの収支の標準偏差は約60万であった。
 しかし、10000試合打ったときの平均収支の標準偏差は約60である
 ポイントの平均に換算すると0.6程度でありかなり小さくなる。
 このように、1試合あたりの収支で見た場合、標準偏差は試合数によってどんどん小さくなる。
 つまり、平均収支で見た場合、数値は試合数を重ねることでいずれ収束することになる

  
 抽象化して話をすると、n試合打ったときの収支の標準偏差、平均収支の標準偏差はだいたい

(収支の標準偏差) = 6000 × √(試合数) 
(平均収支の標準偏差) = 6000 ÷ √(試合数)

 になる。
 だから、別に平均を取って平均で議論すれば収支でも順位でも問題ない

 ちなみに、順位関係のデータでも同じような現象は起こる
 例えば、トップ率の標準偏差は試合数の増加によって減少していく(ばらつきは収束する)。
 しかし、「トップを取った回数」の標準偏差は試合数の増加とともに増加する(ばらつきは収束しない)。
 平均・割合で見なければ、数値は逆に拡散するのである。


 以上、いわゆる雀荘の収支が標準偏差に伴い増えていくことについて述べた
 どんな指標も試合数を重ねるごとに標準偏差が減るわけではないので、その点は注意が必要である。

 なお、収支の標準偏差と比較して大差をつけて勝てばいいのは当然である。
 例えば、「10000試合打って場代分を勝ち分で補った」とする。
 この場合、場代抜きで500万勝ったことを意味する。
 これは、先の標準偏差の10倍の額の分だけ勝ったことを意味し、これだけ勝てば十分実力があるといえる(ただ、100試合レベルで場代をチャラにしてもそれは標準偏差と同程度であるからたまたまそうなった可能性は否定できないので注意が必要である)。

 ただ、偶然の可能性を排除した場合にどうなるか調べるためには、平均・割合を使って調べたほうがいいと思われる。
(もちろん、平均・割合を調べて偶然以上に勝っていることを確認してから、収支・回数の数値を使って誇示する分には問題ない)
 そっちの方が「ばらつきは試合数の増加によって減っていく」のだから。


(追記)

 この話はとつげき東北HPの次の記事を参考にして作成したものである。

 とつげき東北HP 麻雀に強さは存在しない
 http://totutohoku.b23.coreserver.jp/hp/mjcom_p4.htm

 このページ、実はリンクを用いることによってたどりつくことができない。
 また、数値については赤ありに即したほうが(より現実的に近づいていて)よい。
 そこで、同じ話ではあるが、設定を現状にあわせて数値を変更し、また、どうしてこうなるのかの説明を加えて、文章を再構成した。

 
(追記2)
なお、1000試合打ったときの長さ結果ログは次のとおり。
(以下のログをメモ帳にコピペして保存し、エクセルファイルで開いてコンマで行を分割すれば表として見れるのは前回と同様である)
Player0,2.418,-39200
Player1,2.447,-109300
Player2,2.428,-42900
Player3,2.404,156200
Player4,2.414,24300
Player5,2.423,-87300
Player6,2.464,-159100
Player7,2.435,-147700
Player8,2.424,-119400
Player9,2.402,154200
Player10,2.401,-63300
Player11,2.34,417300
Player12,2.361,181100
Player13,2.39,-34400
Player14,2.391,101200
Player15,2.346,393900
Player16,2.474,-301700
Player17,2.412,-12600
Player18,2.381,25900
Player19,2.388,260800
Player20,2.381,62200
Player21,2.403,57600
Player22,2.424,-3000
Player23,2.387,134200
Player24,2.383,123400
Player25,2.373,124200
Player26,2.371,366200
Player27,2.363,246900
Player28,2.496,-333700
Player29,2.392,68200
Player30,2.445,-154800
Player31,2.415,-39300
Player32,2.464,-245500
Player33,2.373,245800
Player34,2.448,-191200
Player35,2.437,-124800
Player36,2.375,241000
Player37,2.377,27700
Player38,2.353,338000
Player39,2.403,-7300
Player40,2.42,-5300
Player41,2.377,65500
Player42,2.411,-99300
Player43,2.385,92000
Player44,2.375,233000
Player45,2.399,12300
Player46,2.393,128500
Player47,2.427,44500
Player48,2.391,133500
Player49,2.425,12500
Player50,2.42,-137400
Player51,2.406,-77300
Player52,2.363,83500
Player53,2.405,-42300
Player54,2.357,275300
Player55,2.432,-180200
Player56,2.448,-138500
Player57,2.365,214000
Player58,2.328,514200
Player59,2.365,272700
Player60,2.408,72000
Player61,2.368,196400
Player62,2.385,130300
Player63,2.397,-13700
Player64,2.396,16800
Player65,2.352,384500
Player66,2.416,68400
Player67,2.378,298400
Player68,2.427,-65200
Player69,2.341,416100
Player70,2.417,-17900
Player71,2.434,-108500
Player72,2.397,51300
Player73,2.482,-360000
Player74,2.408,27000
Player75,2.408,-17300
Player76,2.447,-299500
Player77,2.404,159400
Player78,2.379,152500
Player79,2.389,113600
Player80,2.422,-79300
Player81,2.391,400
Player82,2.347,339000
Player83,2.372,103700
Player84,2.442,-139600
Player85,2.389,119600
Player86,2.387,226900
Player87,2.412,37600
Player88,2.405,170300
Player89,2.38,79300
Player90,2.415,170000
Player91,2.432,-215500
Player92,2.422,39900
Player93,2.384,348200
Player94,2.377,320300
Player95,2.423,-93400
Player96,2.338,456700
Player97,2.418,-42500
Player98,2.444,-85300
Player99,2.427,6300

また、10000試合打ったときのシミュレーション結果のログは次のとおりである。
Player0,2.3827,1272000
Player1,2.3956,479000
Player2,2.415,-763000
Player3,2.4015,473000
Player4,2.4051,450000
Player5,2.3944,946000
Player6,2.4046,100000
Player7,2.418,-368000
Player8,2.3998,-40000
Player9,2.3913,984000
Player10,2.4007,631000
Player11,2.4024,576000
Player12,2.4048,135000
Player13,2.3946,679000
Player14,2.3959,645000
Player15,2.4306,-873000
Player16,2.4011,348000
Player17,2.4173,-627000
Player18,2.398,877000
Player19,2.4037,179000
Player20,2.4076,297000
Player21,2.4083,368000
Player22,2.3894,1181000
Player23,2.413,-141000
Player24,2.4062,253000
Player25,2.4176,-19000
Player26,2.4086,243000
Player27,2.4037,-16000
Player28,2.3945,1110000
Player29,2.4099,-8000
Player30,2.4142,332000
Player31,2.4189,-231000
Player32,2.4091,281000
Player33,2.4094,227000
Player34,2.4205,-296000
Player35,2.4075,358000
Player36,2.4216,-314000
Player37,2.407,72000
Player38,2.4166,-108000
Player39,2.3954,434000
Player40,2.4078,199000
Player41,2.4058,380000
Player42,2.4093,504000
Player43,2.4008,283000
Player44,2.3893,924000
Player45,2.4003,490000
Player46,2.4081,49000
Player47,2.4282,-1226000
Player48,2.4052,552000
Player49,2.4165,-119000
Player50,2.3979,923000
Player51,2.3842,1406000
Player52,2.3914,817000
Player53,2.4057,173000
Player54,2.3924,541000
Player55,2.3966,932000
Player56,2.4271,-586000
Player57,2.4108,-66000
Player58,2.4146,-186000
Player59,2.4295,-860000
Player60,2.4003,87000
Player61,2.3805,1029000
Player62,2.4169,-379000
Player63,2.399,634000
Player64,2.4034,337000
Player65,2.4006,708000
Player66,2.395,686000
Player67,2.4192,-778000
Player68,2.4039,260000
Player69,2.421,-575000
Player70,2.4176,-477000
Player71,2.4095,-172000
Player72,2.3866,1221000
Player73,2.3971,687000
Player74,2.3865,1295000
Player75,2.3826,1543000
Player76,2.417,-466000
Player77,2.4048,409000
Player78,2.4065,518000
Player79,2.4014,528000
Player80,2.4026,403000
Player81,2.3864,1391000
Player82,2.4044,9000
Player83,2.4071,170000
Player84,2.3896,778000
Player85,2.3948,886000
Player86,2.404,301000
Player87,2.3992,686000
Player88,2.3895,1211000
Player89,2.4071,355000
Player90,2.3952,488000
Player91,2.4104,-3000
Player92,2.4002,966000
Player93,2.3869,1490000
Player94,2.3953,662000
Player95,2.4164,-260000
Player96,2.3998,544000
Player97,2.4203,-465000
Player98,2.3785,1489000
Player99,2.426,-275000
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Meanin Gless

Author:Meanin Gless
 初めてこのサイトを訪れた方へ(出来る限り御読みください)

1 このブログで記載する内容と程度 

 このサイトは麻雀に関する調査結果・研究結果を調査過程・研究過程を含めて厳格に記述するサイトです。
 原則として、このブログの文章に「(数学・プログラムについて相応の知識・技術を持った人が)ここに書かれた文章の内容を再現し、文章の内容が正しいことを確認するために必要なこと」は総て記載していく予定です。
 もちろん、牌譜分析をした結果をそのまま表示する場合、重複する場合、後で細かく書く場合、他に書かれていて書く必要がない場合、情報の速報性を重視する必要のある場合は別ですが、それはあくまで例外です。

 このブログの文章の第一のターゲットは、後世の麻雀研究者になっております。
 次が、巷に流れる麻雀戦術が正しいのかを知りたい人、理由付きで麻雀戦術を知りたい人になります。
 申し訳ありませんが、麻雀戦術が使えるようになりたい、麻雀戦術を分かりやすく知りたいと思われる方は、このサイトの99%は役に立たないと思います。
 麻雀戦術について詳細に記したサイト、分かりやすく記したサイトは、たくさんありますので、そちらを読まれた方がよいかと思います。


2 分かりやすさへの配慮について

 なお、理想論としては、私は、このブログの文章の内容を分かりやすく説明するところまでもっていきたいとは思っております。
 しかし、それだけの余力は現在ありません。
 そのため、「この記事を理解すれば役に立ちそうだから、このブログの解説記事を作ってほしい」と思われた方は、コメント欄にてリクエストをしてください。
 リクエストされた時の私の状況にもよりますが、出来る限り対応したいと思います。


3 当サイトの目標

 当サイトは「科学する麻雀」の理論を発展させることを目的としております。
 もちろん、発展の中には、「細かい修正」も入りますが、できれば、天鳳の赤アリ麻雀の牌譜を分析し、必要であれば、抜本的な理論の改変も目標にしたいと思います。
 また、「科学する麻雀」には秋刀魚に関する記述が乏しいため、秋刀魚に関する分析もしたいと思っております。
 その辺の研究が一通り終わりましたら、数理的裏付けの取れたある程度分かりやすい麻雀戦術記事を書きたいと思っておりますが、、、それは1年以上あとの話になるでしょうね。

4 引用について

 基本的に、ネット上のブログに引用する際には、

 ① 私がシミュレーション又は牌譜解析したこと
 ② このサイトのデータである旨

を書いた上で引用する限り、自由に引用していただいて構いません
(ただし、あたかも私が行った牌譜解析・シミュレーションを自分がやったかのように記載して転載するのはやめてください)。

 しかし、

 ① 営利目的使用
 ② 紙媒体に使用する場合

 は、コメントにて、私にご一報ください。
「① 私がシミュレーション又は牌譜解析したことの記載、②このサイトのデータである旨の記載」さえあれば、拒否することは致しませんが、私に再試の機会を与えていただきたいと思っているためです。

 引用について、このようなことを書くのもはばかられますが、某所でちょっとありましたので、このようなことを認めさせて頂きました。
 ご理解いただければ幸いです。


 では、よろしくお願いします。

カテゴリ

アクセス数