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麻雀研究とは何か 7-3

 今回は局収支論の続き。
 とつげき東北の(作った)平場論への検討について。

 なお、最初に注意書き。
 とつげき東北の平場論とあるが、これは『科学する麻雀』の記載を元に「私」が推測したものである。
 つまり、ここに書かれているものは凸の考えそのものではない(大外れとも思わないが)。
 よって、ここで書かれていることをもって、「凸は間違っている(た)」と判断するのはやめてほしい
 この記事は、『科学する麻雀』における凸の記載を復習し、かつ、さらに発展したものを作るため、のものである。
 特定の個人を誹謗中傷するためのものではないし、他人の作った理論に対して審判を下すためでもない。


 さて、前回記載したグラフを(一部を変えて)再掲載する。

FC21611013.jpg 


FC21611012.jpg 


 ここで、前回までの確認をしておく。

『科学する麻雀』の記載から推測すると、平場が成立するのは「他家1家との点数差が10000点以内(の南2局まで)」である。
 また、『科学する麻雀』のグラフを見る限り、「他家1家との点数差がー10000点~10000点であれば、オーラスを除いて点数差と順位のよさは比例している」(南3局は少し苦しいが)。

 ここで、私が疑問に思ったのは次の点である。

「(オーラスを除き)他家1家との点数差が-10000点~10000点において、他家1家との点数差と順位のよさ(勝率)が直線で近似できる」として(このことは前回確認した)、そのことから「(南2局までであれば)他家1家との点数差が-10000点や10000点の状況で平場である」と言って良いだろうか?

 簡単に考えるため、次のように仮定してみよう。
 1局の点数変動をー7500点から7500点とする(これは概ね妥当な仮定だと思う)
 次局、必ず親が流れるものとする。
 自分が加点する場合は他家3家から均等に点数をもらうものとする。
 自分が失点する場合は他家3家に均等に点数を与えるとする(この3つは簡単のため)。
 

 まず、南2局で全員原点(全員25000点)とする
 これが平場であるといえるためには、自分の点数がー7500点~7500点まで動いた場合、他家1家との点数差と順位のよさが比例関係になければならない。
 さて、自分の点数がー7500点~7500点まで動いた場合、点数差がどこまで動くかをみてみよう。
 まず、自分が7500点失点した場合、周囲の人間は2500点加点するため、他家1家との点数差はー10000点となる。
 他方、自分が7500点加点した場合、周囲の人間はー2500点失点するため、他家1家との点数差は10000点となる。
 つまり、自分の点数がー7500~7500点動いた場合、他家1家との点数差はー10000点~10000点まで動く
 そして、先程前回確認したとおり、-10000点~10000点の間は点数差と順位のよさは比例する。
 よって、南2局で全員の持ち点が25000点であれば、点数差と順位のよさは比例する

 次に、自分の持ち点が32500点であり、他家3家が22500点(他家1家との点数差が10000点)の場合はどうか。
 この場合、この領域が平場と言えるには、自分の持ち点がー7500点~7500点まで動いた場合に他家1家との点数差と順位のよさが比例の関係にならなければならない(近似出来なければならない)。
 ではそうなるか、点数差の変動幅を見てみよう。
 自分が7500点失点した場合、他家1家との点数差は0点になる。
 他方、自分が7500点得点した場合、他家1家との点数差は20000点になる。
 つまり、自分の持ち点が32500点、他家3家が22500点の場合、平場と言えるためには、他家1家との点数差が0~20000点の領域において、他家1家との点数差と順位のよさが比例の関係になければならないことになる。
 では、南3局(局が流れる関係で見るべきグラフは南3局になる)で他家1家との点数差が0~20000点の領域において他家1家との点数差と順位のよさは比例の関係にあるであろうか?
 上の黄色の曲線を見れば分かるが、かなり怪しい。
 つまり、南2局で自分の持ち点が32500点、他家3家の点数が22500点の場合、平場として考えるのは怪しいということになる。
 ちなみに、南2局で自分の持ち点が34000点以上あるケースは約20%である(東風戦の東32局であれば34000点以上になるケースは7%でしかない)。
 東南戦で見た場合、とても稀な現象ではない

 ちなみに、この話は点数差の正負の符号をひっくり返しても成立する。
 つまり、南2局で自分の持ち点が17500点、他家3家の点数が27500点でも同じように平場とは言い難いと思う。
 というのも、南2局で他家1家との点数差がー10000点の場合、平場としてみるためには「南3局の他家1家との点数差がー20000点~0点の領域で順位のよさが直線になっている」といえなければならないが、そうは言いがたいためである。


 以上、上の思考実験からいえるのは、次のことである。
「他家1家との点数差が-10000点~10000点において点数差と順位のよさ(勝率)が直線で近似できる」としても、
 「他家1家との点数差が-10000点や10000点の状況で平場である」と言えるかどうかは分からない。

「他家1家との点数差が-10000点から10000点の状況で平場である」と言えるためには、「他家1家との点数差が-20000点~20000点において点数差と順位のよさ(勝率)が直線で近似でき」なければならない。

「他家1家との点数差が-n点からn点の状況で平場である」と言えるためには、「他家1家との点数差が-(10000+n)点~(10000+n)点において点数差と順位のよさ(勝率)が直線で近似でき」なければならない。


 どうやら私は勘違いしたので、今度はー20000点~20000点において点数と順位のよさが比例するかみてみよう。
 まず、南1局から南4局までの他家1家との点数差と順位のよさの関係を示したグラフを提示する。

FC21611017.jpg 


 さて、グラフを見てみよう。
 なお、ここでは平場の範囲を絞る方向で検討する(例えば、上又は下に点数の離れた他家が1家いる場合、上と下に1人ずつ同じくらいの点差が離れた他家がいる場合、といった状況は考えない)。
 そういう状況を平場に組み込む場合は、適宜各自考えて欲しい。


 まず、南4局の曲線(紫の曲線)を見ると、とてもではないが直線で近似できそうにない。
 また、上の2番目のグラフでも示したが、点数差が0点か100点か(-100点か0点か)によって順位のよさが大きくずれる(順位が上か下かで順位のよさは240動くと言える)。
 とすると、南4局の場合、点数差と順位のよさが比例するとは言えない。
 つまり、南3局→南4局の変化は局収支に従うのは危険である。
 よって、南3局は平場ではないことになる(これは『科学する麻雀』の結論に同じ)

 次に、南3局の曲線(黄色の曲線)を見ると、-10000点~10000点までであれば他家1家との点数差と順位のよさは比例しそうである。
 すると、「南2局→南3局」の変化は、自分と他家1家との点差が0近辺であれば、局収支に従って打っていいことになる。
 よって、「南2局は自分と周りの点数差が少ない場合に限り平場である」と言えそうである。
(ここは『科学する麻雀』とは結論を異にする)。

 また、南2局の曲線(赤色の曲線)を見ると、-15000点~15000点までであれば比例しそうである。
 すると、「南1局→南2局」の変化は、自分と他家1家との点差が-5000点~5000点であれば、局収支に従って打っていいことになる。
 よって、「南1局は自分と周りの点数差が5000点以内である場合、平場である」と言えそうである。

 また、南1局の曲線(青色の曲線)を見ると、-15000点~15000点までであれば比例しそう(-20000点~20000点まで比例するとは言い難い)。
 すると、「東4局→南1局」の変化は、自分と他家1家との点差が-5000点~5000点近辺であれば、局収支に従って打っていいことになる。
 よって、「東4局は自分と周りの点数差が5000点以内である場合、平場である」と言えそうである。


 次に、東1局~東4局までの他家1家との点数差と順位のよさの関係は次のとおりである。

FC21611016.jpg 


 こうやってみると、東場の場合はー20000点~20000点の範囲であれば、点数差と順位のよさの関係は比例すると言えそうである。
 とすれば、東3局以前(東2局、東1局)であれば、他家1家との点数差が10000点以内であれば、平場扱いし、局収支に従って打っても大丈夫なようである。


 以上、平場の範囲について色々みてみた。
 どの範囲までを平場と取るかは、「他家1家が上や下にいる場合、同程度の点数が離れた他家が上と下に1人ずついる場合にそれらの他家との点数差は考慮しないか」(そうすれば平場の範囲は広くなる)にもよるし、「これらのグラフを見て、どこまでを直線とみなすか」にもよるだろう(それは「近似をどこまで許すか」とも言える)。
 上の意見は、私が出来上がったグラフを見て、実際にPCの曲線に棒をあてて、「この範囲なら直線に見える」と判断したものだが、人によってはいや「それはおかしい」と思うかもしれない。
 その辺は、各自がちゃんと自分で見るべきだろう。


 以上、色々と考察してみた。
 ここまで考えてみたことを結論付けるなら、『科学する麻雀』における平場に関する結論の記述は平場の範囲をやや広くとっている
「単純化のため」にそうしたのかもしれず、その点考慮の余地はあるとは思う(私もそうすることはたくさんあるので、その点を責めることは難しい)が。


 局収支論に関してはこの辺で。
 ちなみに、この辺のことを考えた末、「平場の範囲を再定義しよう」として書いた文章が『統計で勝つ麻雀』(福地誠、みーにん著、竹書房、2015)の58ページ以下、である。
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 引用について、このようなことを書くのもはばかられますが、某所でちょっとありましたので、このようなことを認めさせて頂きました。
 ご理解いただければ幸いです。


 では、よろしくお願いします。

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