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麻雀研究とは何か 7-2

 以前、とつげき東北の点数と順位に関する理論について話をしていたので、今回はその話の続き。
 もっとも、局収支と順位のよさ(平均順位、雀荘ポイント、段位ポイント)の関係についてはもう少し続く予定である。


5 とつげき東北の局収支論の内容

 前回、とつげき東北の点数と順位の関係に関する理論の結論部分を述べた。
 だが、そのような結論に至った理由については触れていない。
 そこで、今回はそこ(理由)について書いていこうと思う。


 ところで、『科学する麻雀』(とつげき東北著、講談社現代新書、2004)には点数と順位のよさ(RATE)の関係を表すグラフがある(83ページから85ページ)。
 『科学する麻雀』のグラフは赤ナシ(東風荘)のしかもシミュレーション結果をグラフにしたものなので、それを赤アリ(天鳳)の牌譜解析結果に置き換えてみようと思う。
 それは次のグラフである。

FC21610204.jpg 


 なお、順位のよさというのは平均順位2.5で0、順位が0.1よくなる(数値的には下がる)毎に120増える指標を言う(東風荘RATEをイメージしてくれるとありがたい)。
 他家1家との勝率と順位のよさの関係を表すと

 (他家1家に対する順位のよさ) = 12 × ( (他家1家に対する勝率) - 50 ) 

 になる。
 つまり、600であれば他家1家に100%(試合終了時に)勝つ(順位がよくなる)ことを意味し、
  逆にー600であれば他家1家に100%(試合終了時に)負ける(順位が悪くなる)ことを意味する。
 また、0であれば、その他家1家に試合終了時に勝つ勝率は50%である。


 さて、グラフをみてみよう。
 全体的な傾向だけを見るのであれば、『科学する麻雀』のグラフと同じ傾向を示している。
 大雑把に語るのであれば、「赤ナシのシミュレーションから述べた凸の結論は赤アリにおいても妥当する」ということになるのだろう。
 以下、このグラフを見ながら、色々とみていこうと思う。


 順位のよさ(RATE)を高めるためには局収支に従って打てばいい、つまり、順位のよさが局収支に比例するということは

(順位のよさ)
 = (上家に対する順位のよさ)+(対面に対する順位のよさ)+(下家に対する順位のよさ)
 = 定数 × (局収支) 
 = 定数 × (上家との点差 + 対面との点差 + 下家との点差 )

 が成立していることになる。
 そこで、特定1家に対する順位のよさと特定1家に対する点差が比例の関係にあればいい
(厳密に言えば、比例の関係に近似出来ればいい)
 以下、グラフを見ながらこの関係があるかどうかを見てみよう。


 まず、黒い線(東1局)をみてみよう。
 大雑把に見る限り、-20000点~20000点の間で、ほぼ直線に見える。
 この領域においては、順位のよさと点差は比例すると考えても良い。

 次に、青い線(南1局)を見てみよう。
 これもー12500点~12500点の間であれば、ほぼ直線に見える。
 となれば、この領域(他家との点差が12500点以内)においては、順位のよさと点差は比例すると見ていい。
 
 さらに、赤い線(南2局)を見てみよう。
 ー10000点~10000点の間であれば、ほぼ直線に見える。
 となれば、この領域(他家との点差が10000点以内)においては、順位のよさと点差は比例すると見ていい。
 
 また、黄色い線(南3局)を見てみよう。
 ー10000点~10000点の間をがんばってみれば、直線に見えなくもない。
 となれば、この領域(他家との点差が10000点以内)においては、順位のよさと点差は比例すると見ていい。
 
 最後に、紫の線(南4局)をみてみよう。
 これを見ると、さすがに、-10000点~10000点を直線に見るのは厳しい。
 すると、この辺は局収支論は妥当しないことになる。


 また、それぞれの傾きを見ても、南2局までであればその差は大きくない。
(10000点の数値を用いてグラフの直線の傾きを求めたところ、それは次の数値になった)
 東1局 = 199/10000 (『科学する麻雀』の場合、225/10000)
 東2局 = 212/10000 (『科学する麻雀』の場合、242/10000)
 東3局 = 235/10000 (『科学する麻雀』の場合、262/10000)
 東4局 = 257/10000 (『科学する麻雀』の場合、288/10000)
 南1局 = 291/10000 (『科学する麻雀』の場合、322/10000)
 南2局 = 333/10000 (『科学する麻雀』の場合、368/10000)


 これら結果から、前回述べた結論を導くことができる。
 科学する麻雀の発言をもう一度引用しよう。

(以下、87ページの引用、強調は筆者)
 全体としては、南2局までの、とくに3人との点差が大きくない場合を「平場」と考えればよいと判断できる。また、南2→南3の変化でも、よほど点数が離れている場合でないかぎり、局収支期待値を考えて打てばおおむねよいと思われる(全員と点数が離れている場合は稀だから)。
(引用終了)

 ここで問題となるのは、「3人との点差が大きくない場合」、「よほど点数が離れている場合」とは何かになると思う。
 これについて『科学する麻雀』の85ページから88ページまでの記載から判断してみよう。
 以下、関連する記載を引っ張ってみる。

(以下、86ページ、87ページの引用、強調は筆者)
・aは局に応じて(またルールなどにも若干依存して)変化するが、南2局程度までで得点差が10000点程度までならその変化量はさほど大きくない(得点差が10000点以上の他家がいても1人程度なら大差ないし、差がある他家が上下位のどちらにもいるなら「相殺」される)。
・上記条件下でのaの値を、グラフの10000点差から読み取ってまとめておくと、(中略)
・ところが、南3局を迎えるあたりから差が10000点未満であっても、「比例」とは異なる形になる(以下略)
(引用終了)


 これらの記載から判断するに、「局収支論が妥当するのは、『他家3家との点差が総て10000点以内』」というのが一つの基準になるのではないかと思う。
 また、「得点差が10000点以上の他家がいても1人程度なら大差ないし、差がある他家が上下位のどちらにもいるなら「相殺」される」とか、「全員と点数が離れている場合は稀だから」などという記載がある点を考慮すると、仮に、他家との点差が10000点以上ある場合であっても、「上下に1人ずついる場合や上(下)に1人いる程度であっても局収支論は妥当する」とも考えられる。
 この場合、2位と10000点以上突き放しているトップ(3位者4位者とは10000点以上離れているが、トップと2位が微差の場合のトップと2位者)や3位と10000点以上差がついているラス(トップと2位者とは10000点以上離れているが3位と4位は微差であるときの3位者とラス)以外になりそうである。 

 広くとるか狭めに取るか、その人による(特にレベル)ように思う。
 厳格に考えるなら、局収支論の妥当範囲は狭めに取り、「3者との点差がいずれも10000点以内である場合に限り、局収支と順位のよさは比例する」と考えるのがよいだろう(この場合、個別判断をしなければならない領域が増える)。
 逆に、局収支論を広く適用したいのであれば、「3人との点差がいずれも10000点以上でない限り局収支と順位のよさは比例する」と考えるのがよいだろう。
 最初は後者で考え、レベルが上がってきたら前者で対処する、というのが無理のない考え方ではないかと思う。


 以上、とつげき東北の局収支論について詳説した。
 次回は私が何故この理論に疑問を持ったかについて話していく予定である。
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 また、「科学する麻雀」には秋刀魚に関する記述が乏しいため、秋刀魚に関する分析もしたいと思っております。
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