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麻雀研究とは何か 7

 今回は麻雀研究について。
 テーマは局収支論について
 特に、とつげき東北の点数と順位の理論について述べる。


1 局収支とは

 局収支とは点棒の収支期待値のことである。
 つまり、その打牌をしたときの局終了時における自分の持ち点の増減を数値化したものである。
 
 例を一つ示そう。
 とある牌を切った結果、自分は子で50%の確率で満貫を和了し、25%の確率で子の満貫を放銃し、25%の確率で子に満貫をツモられるとする。
 この場合、局収支は1500点になる。

(計算式 8000×0.5-8000×0.25-2000×0.25=1500)


2 局収支の求め方

 局収支の求め方は次のとおりである。

(局収支)= Σ(全部)(とある結果が生じる確率)×(とある結果が生じたときの点数変動)

 和了率・和了時収入点平均・放銃率・放銃時失点平均・被ツモ率・被ツモ時平均失点・横移動率・横移動時平均失点・流局率・流局時平均得点が分かっているときは、局収支は次のように求められる(基本的に、私が牌譜解析結果から局収支を求める際にはこの計算式を用いて求めている)。
  
(局収支) =  (和了率) × (和了時収入点平均)
        +(放銃率) × (放銃時失点平均)
        +(被ツモ率) × (被ツモ時失点平均)
        +(横移動率) × (横移動時失点平均)
        +(流局率) × (流局時得点平均)

 基本的に、和了率等の確率とそうなったときの点数変動の平均が分かれば、局収支は求められる。


3 とつげき東北の点数と順位の理論

 局収支を単体で見た場合、局収支には点棒収支期待値としての意味しかない。
 局収支(点棒収支期待値)を高めることが直ちに平均順位のよさ・半荘収支・段位ポイント期待値を高めることにつながるわけではない

 その局収支と平均順位のよさの関係を明らかにしたのが、とつげき東北の点数と順位に関する理論である。
 とつげき東北の点数と順位の理論の功績は、ただの点数収支期待値に過ぎなかった局収支を順位のよさを評価するための関数として使えるようにしたこと、にある。


 とつげき東北氏が擬似麻雀シミュレータを作り、点数と順位の関係をひたすら調べた結果、得られた結論は次のとおりである。

(以下、『科学する麻雀』(とつげき東北著・講談社現代新書・2004)より抜粋)

(中略)南2局程度までは基本的に「x+y+zの大小関係」のみで戦況を判断してかまわないと思われる。これは換言すると、「局収支期待値」にもとづいて打っていいことを示す。
(中略)全体としては、南2局までの、とくに3人との点差が大きくない場合を「平場」と考えればよいと判断できる。また、南2→南3の変化でも、よほど点数が離れている場合でないかぎり、局収支期待値を考えて打てばおおむねよいと思われる(全員と点数が離れている場合はまれだから)。  

(筆者註、「平場」とは点数の違いが平均順位の違いとおよそ比例すると考えられる領域である)

 つまり、「基本的に南2局までは局収支に従って打てばいい」ことを示したことになる。


4 とつげき東北の点数と順位の理論の麻雀研究に対する影響

 この結論が麻雀研究にもたらした影響ははかりしれない。
 つまり、この理論によれば、

 順位のよさは(南3局以降を除き)原則として局収支で決まる

 ことになる。
 つまり、局収支さえ求めれば、順位のよさも同時に求めることになることになる。
 大概の場合、打牌Aと打牌Bの比較が問題になるから、局収支の大小関係さえ分かれば、順位のよさの大小関係がわかることになる。
 このことが何を生み出したか。

 まず、シミュレーションによるアプローチ。
 シミュレーションによって順位のよさを求めるためには、その局における諸現象をモデル化するだけではダメで(局収支しか求められない)、その局が終わったところから試合終了までの諸現象もモデル化しなければならない。
(現在のnisiシミュレータはそこまで実装されている。実装されたのは2年くらい前のことだが)。 
 しかし、この理論によると、その局における諸現象をモデル化し、局収支の大小関係を求めれば、順位のよさの大小関係も同時に求められることになる。
 つまり、その局が終了してから試合終了までの諸現象をモデル化する必要がなくなった。
 このことはシミュレーションの省力化をもたらした。

 次に、牌譜解析アプローチ。
 牌譜解析アプローチの難点はサンプル数である。
 順位状況毎に牌譜解析をしていたらサンプル数が足らなくなってしまう。
 しかし、局収支さえ分かればいい、つまり、局収支関係のデータを得られればいいことになれば、点数状況による場合わけをする必要がなくなる。
 このことにより、牌譜解析から局収支に必要なデータ(和了率・和了時収入平均その他)を求めて局収支の大小関係を求めることが可能になった。


 このように、局収支(の大小関係)を求めれば、順位のよさ(の大小関係)も分かることにより、麻雀研究は局収支を求める研究を中心に一気に広がった
 例えば、北HAZさんは局収支を直接牌譜解析から求めて、戦術論を組み立てるための必要なデータを採った(もっとも、北HAZさんがとつの影響を受けているかは知らない)。
 また、nisiさんはとつが作った局収支を求めるシミュレータを進化させ、戦術論を組み立てるために必要なデータを採った。
 

 このように、麻雀研究は局収支を中心に進んでいくのだが・・・
(長くなったので、2回に分けます)。
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 また、「科学する麻雀」には秋刀魚に関する記述が乏しいため、秋刀魚に関する分析もしたいと思っております。
 その辺の研究が一通り終わりましたら、数理的裏付けの取れたある程度分かりやすい麻雀戦術記事を書きたいと思っておりますが、、、それは1年以上あとの話になるでしょうね。

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 引用について、このようなことを書くのもはばかられますが、某所でちょっとありましたので、このようなことを認めさせて頂きました。
 ご理解いただければ幸いです。


 では、よろしくお願いします。

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